ハノイの気候は、乾季(11月~4月)と雨季(5月~10月)に分かれています。ただし、北部ではゆるやかではあるものの四季があり、東南アジア諸国にはなかなか珍しい気候です。
中でも、11月から4月の乾季は、雨が少なく気温も20℃から30℃と快適。もっとも観光に適したベストシーズンと言えるでしょう。
一方、5月~10月の雨季は、昼時~夕方の最も活動する時間にスコールが発生しやすいため、注意が必要です。さらに、雨量次第では道路が水没して交通機関に乱れが生じる場合もあります。
とくに、3~5月や9~11月の雨季の始まりと終わりの時期は比較的天候が安定しており、乾季に近い快適さが得られる時期。ハノイはベトナムの中でも天候が穏やかな期間が多い都市として知られており、この点でも旅行先としておすすめできます。
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旅行のコストを抑えたい方は雨季に訪れることを検討してみても良いかもしれません。雨季の時期の航空券は2~5割ほど値下がりする傾向にあります。平日発着を狙えばさらに安い航空券を見つけることも可能です。
宿泊費についても同様に安くなる傾向があり、乾季に比べて20~40%程度割引されることが一般的。一部高級リゾートなどは変動しないケースはあるものの、全体として割安感が際立っています。
コスパを重視する方にとっては、雨季は狙い目です。
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ハノイを訪れる際に注意すべき時期は「テト旧正月」。
1月後半~2月前半にかけてのこの期間は、現地の人々が一斉に帰省などをするため、交通機関が大変混雑するので避けるのがベター。とくに国内線やバスなどはチケットが取りづらく、空港も大混雑します。
また、観光地としての側面が強いハノイでは、ローカルな飲食店は期間中に休業になってしまうケースもあり、食事や買い物の選択肢が限られてしまうデメリットも。一方で、ハノイ旧市街やホアンキエム湖周辺はさまざまな装飾が施されており、華やかな街並みを楽しむことができます。
混雑を避けて観光を楽しみたいならこの時期を外すべきですが、文化的イベントを味わいたいなら、敢えてテト旧正月の期間に訪れてみてもいいかもしれません。
ハノイの乾季は気候が良く、屋外でのアクティビティにぴったりです。オススメの観光スポットを3つ紹介します。
ハノイの街の中心にあるホアンキエム湖。乾季の穏やかな気候の中で散策にぴったりのスポットです。人気スポットも点在しており、ハノイらしい雰囲気を存分に味わうことができます。乾季は空気も澄んでおり、湖畔の散歩やベンチでのんびり過ごすには最高の季節です。
ベトナムの英雄、ホー・チ・ミンの遺体が安置されている荘厳な施設「ホーチミン廟」。観光客はもちろん、現地の人たちも大勢訪れ、行列になっています。敷地が広く日陰が少ないため、気候の穏やかな乾季に訪れるのがおすすめです。
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ハノイ旧市街は、別名「ハノイ36通り」とも呼ばれる大規模な繁華街です。ホアンキエム湖の北側からドンスアン市場まで続いており、様々なお店がひしめきあっています。乾季は道が乾いて歩きやすく、写真映えする風景が多いのもポイントです。
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ベトナムを代表する世界遺産・ハロン湾は、ハノイ滞在中にぜひ訪れたい人気観光地のひとつ。
そんなハロン湾を観光するのにも乾季がベスト。中でも季節の変わり目である11月~12月前半、または3~4月は晴れが多く景色もクリアな日が多いでしょう。
さらに乾季であれば、悪天候によるクルーズ船の欠航や、水上アクティビティの中止リスクも低くなります。
一方で、雨季は閑散期に入るため、クルーズ船の料金が安くなったり、各施設の料金が10~30%ほど割引されるので、狙い目の時期といえるでしょう。
ハノイの雨季(5~10月)は、午後から夕方にかけて突然のスコールが降ることが多く、屋外観光の計画が立てづらくなりがち。そんな時期でも楽しめる、屋内中心のおすすめ観光スポットを3つ紹介します。
ベトナム民俗学博物館は、国内で公認されている54の少数民族の文化や住居について学べるスポット。屋内展示中心のため、季節を問わず、楽しく歴史や文化について学ぶことができます。
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ロッテセンターの65階に位置するハノイ展望台からは、市内を一望するパノラマビューが楽しめます。特にガラス床のスカイウォークエリアはスリル満点で、写真映えスポットとしても人気。
カフェやショップも併設されており、雨の日でも快適に過ごせるおすすめスポットです。
ハノイに来たら、絶対に体験しておきたいのがマッサージです。ハノイはマッサージ天国とも言われ、スパの質が高く、リーズナブルなことで知られています。雨で外出しにくい日こそ、リラックスと美容を兼ねたスパ体験がおすすめ。
乾季の時期(11月~4月)に旅行する際の注意点は、強い日差しと紫外線です。帽子やサングラス、日焼け止めは必ず携行しましょう。さらに、朝晩は冷え込むため、薄手の上着を1枚持っておくと安心です。またこの季節は観光客が多い時期なので、多くの旅行者で混雑します。ホテルや人気観光地の予約は事前に済ませておくのがベターです。
一方、雨季の時期(5月~10月)は、一日に複数回スコールが発生します。折りたたみ傘や撥水素材の靴を履くなど対策を心掛けましょう。また、水たまりが増えることで蚊をはじめとした虫が発生しやすくなっています。虫刺されによる感染症のリスクもあるため、虫よけスプレーや長袖の服をお忘れなく。
また湿度が80~90%に達する日もあり、サウナに入っているかのような環境になることも。ベトナムはミネラルウォーターが安価に手に入るため、まとめ買いしておくなど、水分補給をこまめに行いましょう。
いずれの季節も、対策を講じることで快適な旅が可能です。
ハノイ旅行を安心して楽しみたいなら、乾季が間違いなくおすすめです。しかし、混雑を避けてリーズナブルに旅をしたい方には、雨季も魅力的な選択肢となるでしょう。
乾季にも雨季にも、ハノイならではの魅力があります。もちろん、どんな季節にもその土地ならではの楽しみ方があり、なにより地元の人々は一年を通してこの街で暮らしています。
初めての旅行では乾季を、そして二度目、三度目の訪問では雨季のハノイを楽しむ、そんな旅の仕方も良いかも知れません。季節ごとに表情を変えるハノイの魅力をぜひ体感してみてください。