インドネシア・バリ島の南東400kmに位置する「スンバ島」。面積はバリ島の約2倍ありながら人口はわずか6分の1程度という、豊かな自然と伝統が色濃く残る島です。
かつては良質な白檀(サンダルウッド)の産地として知られていたため、「サンダルウッド島」と呼ばれていたそう。島には土着の宗教「マラプ教」が根付いており、特に結婚式や葬儀、収穫祭などで伝統的な儀式や文化を今も見ることができます。
島内には約200種類もの鳥類が生息し、そのうち7種は固有種で、国際的な保護活動の対象となっているものも。環境を守りながら地元の生活を支援し、地域との共存が図られているといいます。
世界中のサーファーが憧れる、サーフィンの聖地としての顔もありますが、観光地開発は積極的に進めずに自然を尊重。インドネシアの秘境的な存在として、多くのツーリストから羨望の的となっています。
日本からズンバ島までのアクセスは、バリ島経由が一般的。成田国際空港からバリ島のデンパサール(ングラライ国際空港)まで約8時間、ガルーダ・インドネシア航空が直行便を運航しています。
「スンバ島」には、西部へのアクセスに便利なタンボラカ空港 (TMC)と、東部へのアクセスに便利なウンブ・メハンダ・ワイングアプ空港 (WGP)の2つの空港があるため、目的地に合わせて選びましょう。ウイングス・エアなどがスンバ島までの直行便を運航しており、1時間ほどで到着します。
「スンバ島」には数々の美しいビーチが点在しています。まず紹介したいのは、北東部にある「ワラキリ・ビーチ(Walakiri Beach)」。ここには、海の中に育っているマングローブが干潮の時だけ姿を現わす絶景スポットがあるんです。
マングローブの木々が海面から曲がりくねりながら自由に伸びているミステリアスな光景は、このビーチならでは! 「ダンシングツリー(Dancing Tree)」と呼ばれ親しまれています。干潮の時間帯はその日によって異なるので、事前にタイミングを調べてから訪れてくださいね。
南西部にある静かなビーチなら、「マンドラック・ビーチ(Mandorak Beach)」。白い砂浜に透き通った海という、南国リゾートらしい癒やしの景色が楽しめます。岩場に囲まれているので比較的波が穏やかで、ビーチでゆっくりとした時間を過ごせるはずですよ。
広大なビーチを探している人は、西部にある「ニヒワトゥ・ビーチ(Nihiwatu Beach)」へ。人気の高級リゾートヴィラ「ニヒ スンバ」の目の前に広がるビーチです。サーフィンポイントとしても人気ですが、海辺でシュノーケリングするだけでも充分楽しめます。美しい珊瑚礁が広がり、きれいな魚たちが泳いでいる姿を見ることができるでしょう。
地元の住人たちの暮らしが、今なお大切に受け継がれている「スンバ島」。そんな島の文化を肌で感じることができるのが、島西部にある「タルン文化村(Tarung Cultural Village)」や「プライジン文化村(Praijing Cultural Village)」、中部寄りにある「パスンガ村(Pasunga Village)」といった伝統村落です。
空に向かってそびえたつ茅葺屋根が目を引く家屋が軒を連ねるこのような村は、観光用のモノではなく実際に人々が生活を営んでいます。現地の暮らしをリアルに感じられる、貴重な体験となることでしょう。
南西部の「マンドラック・ビーチ」近くにある「ウィークリ湖(Weekuri Lake)」は、絶えず海水が出入りする塩水湖。岩の下にある自然の通路を通って海水が循環することで、淀みのない清らかな水質が常に保たれているといいます。湖の浅瀬には砂地が広がり、水深2~3mの深場には珊瑚礁や魚などが生息。ビーチとはまた違う趣を感じられる名所です。
インドネシア映画の舞台となったことで、一躍脚光を浴びた景勝地「ワイリンディング・ヒル(Wairinding Hill)」。広大な丘陵地に荘厳なパノラマが広がり、訪れる人々を静寂と癒やしの世界へと誘います。特に夕日や日の出の時間帯は、太陽の柔らかな光が山並みを美しく照らし、幻想的な空気に包まれます。
東部の内陸地にある「ワイマランの滝(Waimarang Waterfall)」は、駐車場から山道を30分程かけて歩いたところにある滝。周囲を崖に囲まれた自然豊かな環境に、ひっそりと滝が流れる幻想的な風景が人気を呼んでいます。乾季には滝壺の透明度が増し、より神秘的な雰囲気に。
「スンバ島」は、世界中のサーファーが最高の波を求めて訪れるサーファーの聖地。島の沿岸部には絶好のサーフポイントが点在しています。南西部の「オーチーズ・レフト(Occy's Left)」や西部にある「ミラーズ・ライト(Miller's Right)」、「ロテンガロ伝統村」近くの「ペロ ビーチ(Pero Beach)」など、荒々しくも壮大な波がサーファーたちを魅了します。
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2016年版「Travel+Leisure」誌で、世界のベストホテルに選ばれ話題を集めた「ニヒ スンバ(NIHI Sumba)」は、投資家で実業家のクリス・バーチ(Chris Burch)がオーナーを務めるラグジュアリーリゾート。南西部の海岸線の小高い丘に建ち、総面積567ヘクタールの敷地内にエキゾティックなヴィラが点在する贅沢な環境で、ゆっくりとした自由な滞在を提供しています。
北西部にある「マリンギ スンバ(Maringi Sumba)」は、スンバ ホスピタリティ財団のキャンパス内にあり、学生のための研修ホテルとして運営されています。将来観光業でリーダーとなるためのスキルを養う学生たちが、経験豊富な専門家の指導のもと、サービス精神に満ちた温かいおもてなしを提供。敷地内には全室テラス付きのパヴィリオンと呼ばれる一棟ベースの客室が点在しています。
2023年にオープンした新しいリゾート「キャップ カロソ(Cap Karoso)」は、デザインホテルズに加盟しているホテルです。各部屋は地元の職人によるアートやテキスタイルなどが飾られ、おしゃれな空間を演出。敷地内には農場があり、ここで育てた野菜や果物がレストランで使用されているほか、宿泊客には農場体験を提供しているそう。ビーチやアクティビティだけではない、ユニークな滞在を過ごせそうです。
南西部のワノカカの海沿いにある、緑豊かな熱帯雨林が広がる崖の上に建つ「レレワトゥ リゾート スンバ(Lelewatu Resort Sumba)」。インド洋の景色を一望する景色が自慢です。島の豊かな伝統を讃えた同リゾートでは、地元の伝統を本格的に体験できる場も提供しており、島で何年も受け継がれてきた儀式に参加することもできます。
客室数わずか6室のみという贅沢なデザインのブティックリトリートホテル「アラヤマ(Alamayah)」。島内で最も美しい地区のひとつとして知られる、西部の人里離れた海岸沿いに位置しています。客室はすべて個別にデザインされたスイートタイプ。自然を大切にしながら開発されたビーチサイドのジャングルヴィレッジの中に佇む、隠れ家リゾートです。
「スンバ島」は、近隣のジャワ島やバリ島と同じく亜熱帯気候。年間を通して気温は暖かいですが、雨季(11月〜4月)と乾季(5月〜10月)に分かれており、乾季の方が気候が安定して湿度も低いので、旅のベストシーズンといえるでしょう。特に7月~9月にかけては晴れが続くため、マリンスポーツを楽しみたいツーリストに人気です。
「スンバ島」では、ホテルでの宿泊やショッピングの支払いは通常クレジットカードが使用できますが、町で買い物や飲食をする場合は、現金を用意しておいた方が安心です。また日差しが強いため、日焼け止めや帽子、サングラスなどの紫外線対策アイテムは必須。乾季でも夜は涼しくなるので、長袖の羽織るものも持参しておいてくださいね。
自然との共存を大切にしながら美しい景観が守られ、昔からの生活が息づくインドネシアの秘境「スンバ島」。ビーチや絶景スポットはもちろん、現地の文化を感じられるような体験と共にユニークな旅ができそうです。