トレドはスペイン観光で外せない古都です。早速、その魅力を見ていきましょう。
トレドが位置するのは、スペインのイベリア半島の中心から、やや南に位置するカスティーリャ=ラ・マンチャ州。その州都がトレドです。首都がマドリードに移された1561年まで、首都として数多くの歴史が刻まれてきました。
街全体がユネスコ世界遺産に登録されています。囲むよう流れるタホ川からトレド大聖堂まで荘厳な歴史的建築物が立ち並びます。
トレドはかつてイスラム教勢力が侵入し、統治されていましたが、やがてキリスト教勢力によって治められることになりました。そしてユダヤ教も共存している時代があったため、3つの宗教的な文化も残されています。
トレドは、16世紀に活躍した画家、エル・グレコが愛した都市であり、その宗教画の作品を街のそこかしこで観ることができます。
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トレドへのアクセス方法を見ていきましょう。
●首都マドリードからトレドまでのアクセス
首都マドリードからは、電車またはバスでアクセスできます。
電車:スペイン国鉄「Renfe」のアトーチャ駅からトレド駅まで、高速列車AVEでは約30分で到着します。料金は、時期にもよりますが、AVEの片道料金は約15ユーロです。バスと比べて移動時間を短縮できるメリットがあります。
バス:マドリードにあるプラサ・エリプティカバスターミナルから、トレドバスターミナルまで、約1時間で着きます。片道料金は約6~7ユーロです。電車と比べて安価に移動できるメリットがあります。
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トレドに着いたら、その街並み全部が観光地。そのため、街歩きが基本です。特に坂が多く、路地が複雑に入り組んでいるため、徒歩のほうがめぐりやすいところがあります。歩きやすいスニーカーがおすすめです。
観光列車「ソコトレン(Zocotren)」やタクシーを利用するのもおすすめです。
●ソコトレン
旧市街を周遊する、観光客用のミニトレインです。旧市街とその周辺を45分程度かけて巡るので、観光にぴったり。オープンになっているので風を感じながら爽やかに景色を楽しめます。発着地は中央広場「ソコドベール広場」で、料金は約7ユーロです。
●タクシー
タクシーは、展望台「ミラドール・デル・バジェ」に訪れたり、郊外エリアを回る際におすすめです。トレド駅前にはタクシーがいますが、旧市街で走っているタクシーをつかまえるといったことができないため、各所のタクシー乗り場を押さえておきましょう。
トレド大聖堂
ここで、トレド観光のモデルコースをご紹介します。
まずは半日で巡る3~4時間のコースです。
ソコドベール広場は、トレド観光の起点です。そのため、カフェやレストラン、お土産店が周辺に軒を連ね、活気に満ち溢れています。観光案内所もあるので、困ったときにはここに戻ってくるのも良いでしょう。広場の中央にある噴水は、写真撮影の定番スポットです。夜になるとライトアップされるのでぜひ一度見てみてください。
まずはトレド大聖堂こと、「サンタ・マリア・デ・トレド大聖堂」に訪れましょう。スペインのカトリック総本山と称されるゴシック様式の大聖堂で、世界的に著名な建造物でもあります。数々のステンドグラスやエル・グレコやゴヤといったスペインを代表する著名画家たちの作品が並びます。塔に登ればトレドの街並みを一望できますよ。
エル・グレコの傑作「オルガス伯爵の埋葬」が所蔵されていることで有名な教会です。イスラム建築のムデハル様式で建てられており、独特の雰囲気を醸し出しています。12世紀に建てられ、14世紀に再建された歴史があります。再建時に建築されたモサラベの塔は、教会のシンボルであり、トレドに残るムデハル様式の最も素晴らしい建造物とされています。
エル・グレコの代表作を中心に所蔵している美術館です。建物は、「グレコの家」と呼ばれていた、ユダヤ人地区の家の一つが改装されたもので、内部はグレコが使っていたアトリエや書斎、寝室などが再現されているのも魅力です。「トレドの景観と地図」や「キリストの洗礼」、「聖終ペドロの涙」などの著名な作品が間近で鑑賞できるのは圧巻です。
先ほどもご紹介したミラドール・デル・バジェは、トレドを代表する絶景スポットです。タホ川に囲まれた旧市街の全体を一望できます。特に夜景は圧巻なので、日が暮れた頃に訪れるのもおすすめです。まるで絵画のような眺めにうっとり。ロマンチックな景色を眺めに行きましょう。
続いては、一日で巡るコースをご紹介します。
半日コースの行程に加えて、次の観光スポットからホテルまでを追加しましょう。
かつて3世紀にローマ帝国の宮殿があった地に、11世紀になってイスラムの支配からトレドを奪還したアルフォンソ6世が要塞として改築した建造物です。現在は、軍事博物館の本館として利用されています。夜にはライトアップされ、幻想的な眺めに。
1476年のトロの闘いで、ポルトガルに勝利したことを記念し、カトリック両王が建てさせた修道院です。堂々としたたたずまいに圧倒されます。見どころは、中庭を囲む2階建ての回廊。繊細な装飾やガーゴイル、動植物の模様、彫刻などを楽しみましょう。現在も修道院として利用されているため、現地のリアルな雰囲気も感じられます。
トレドにはユダヤ人が住んでおり、イスラム支配下では保護され、独自の文化を形成していました。集会所兼教会であるシナゴーグも。その当時のユダヤ人の高度な文化が遺る場所、旧ユダヤ人街とシナゴーグの跡地をたどる観光を楽しみましょう。
多彩な観光スポットを巡った後は、お土産ショップへ。旧市街にはたくさんのお土産店を見つけることができます。特にトレド名物の「マサパン」は外せません。アーモンドの粉に砂糖などを混ぜて焼き上げた甘いお菓子で、お土産はもちろん、街歩きのお供にも最適です。
h3 パラドール・デ・トレド(ホテル)
宿泊場所におすすめなのが、歴史的建造物を利用しているホテル、「パラドール・デ・トレド」です。トレド中心部に位置する4つ星ホテルで、観光に便利に利用できます。外観・内装共に、木や煉瓦のぬくもりを感じられます。客室から眺める旧市街の眺望も楽しめます。朝食ビュッフェに定評があり、贅沢に楽しめるのも魅力です。
さあ、いよいよトレド観光に出かけたくなってきたはず。おすすめのシーズンをご紹介します。
ベストシーズンは、5~6月の春と9~10月の秋。過ごしやすい気候で、観光客も比較的少ない時期です。夏は気温40度超を記録することも多いため、避けておくのがベターでしょう。
春秋は過ごしやすいですが、空気が乾燥しているため、水分不足にならないよう、などの準備を整えておきましょう。朝晩の寒暖差が激しいので、上着を持って出かけると安心です。
トレドの魅力から観光情報までお届けしました。トレドは歴史深い都市であり、一言では言い表すことのできない深みがあります。今回ご紹介したモデルコースでもまだまだ堪能しきれないですが、半日や一日かけてどっぷりその魅力に浸って存分に楽しみましょう。