ランタン祭りは、色とりどりのランタンでライトアップされる世界的に有名なお祭りです。月に一度の満月に当たる旧暦(※)14日の夜に開催され、街中の照明は落とされ、ランタンだけの灯りで過ごすのが特徴です。
※月の満ち欠けを基準にした暦法
ベトナムのランタンは独特で、カラフルで可愛らしいのが魅力。真っ暗な中で灯るその幻想的な光景は、とても絵になります。お祭りでは、踊りや音楽の演奏、ゲームなどを楽しみながら過ごします。観光客は写真撮影のほか、ランタンを購入してお祭りの一部になれるのも特徴。また期間中限定の屋台食べ歩きも楽しみの一つです。
ランタン祭りが開催されるホイアンは、16世紀から19世紀にかけてファイファという貿易港において、日本や中国、ポルトガルなどとの貿易が盛んに行われていました。その貿易を通じて、中国からランタンが持ち込まれ、ホイアンの職人たちの手によって独自に工夫され、伝統的に残るランタンになったという説があります。
また別の説として、かつてホイアンには日本人街が作られましたが、江戸時代に鎖国を始めたため、一時期は日本人たちが去りました。しかし鎖国中には交易が行われており、その際、日本からの朱印船によってランタンがもたらされたという説もあります。
ホイアンは国際的な町であり、その町並みには、日本風の支持梁や中国風のタイル張りの屋根、フランス風の鎧窓など、さまざまな文化の建築様式が残っていることで有名で、折り畳み可能な形状やさまざまなデザインがあるランタンにもその影響があるのだとか。
そうして根付いたランタンを用いたランタン祭りは、もともとあったランタンを吊るして邪気を払う風習から、死者を弔うためといった意味合いがあるといわれています。
ホイアンのランタン祭りは「毎月の満月の夜(旧暦14日)」に開催されます。旧暦のため日付は毎月変動します。2025年の開催日は1月13日、2月11日、3月13日、4月11日、5月11日、6月9日、7月8日、8月7日、9月5日、10月5日、11月3日、12月3日です。
ランタン祭りは毎回、多くの観光客やローカルが集まりますが、繁忙期である2~4月に国内外から特に多くの見物客で賑わいます。
お祭りのスタートは夕方の18時頃で、徐々に通り沿いのお店が照明を落としていきます。基本的に人工的な灯りは消灯するルールとなっており、ランタンもしくはろうそくの灯りが浮かび上がってきたら本格的な開始の合図。
ランタン祭りの終わりは夜21時頃ですが、屋台やナイトマーケットは23時頃まで営業しているお店もあります。
ランタン祭りは、先ほどもお伝えした通り、色とりどりのランタンが闇夜に浮かび上がる幻想的な光景が目玉です。ぜひ写真撮影を行いましょう。街全体にランタンが飾られるため、どこで撮影しても写真映えはしますが、特におすすめのスポットを3つご紹介します。
古い町並みの路地には、伝統的な建築物と共に、カラフルなランタンが頭上にひしめく幻想的な光景を撮影することができます。
日本橋(来遠橋)と呼ばれる日本人が16世紀に建設したとされる橋があります。橋の中央には小さな寺が建設されており、ホイアンを代表する観光スポットになっています。そんな日本橋周辺で撮影すると、歴史的建築とランタンのコントラストが美しく、写真映えしますよ。日本との関連があることから、日本で話題にしやすいのもおすすめのポイントです。
街を流れる運河、ホイアン川(トゥボン川)沿いで撮影すると、水面に映るランタンも合わせて撮影できるので、とっても綺麗! 後ほどご紹介しますが、ランタン祭りの名物である灯篭流しができるのもこのホイアン川です。ボートに乗りながら撮影するのもおすすめです。
ランタン祭り期間中は屋台が出店するので、ぜひお祭りの雰囲気を味わいながら、地元のご当地グルメを楽しみましょう。安価に楽しめるのも魅力です。
日本でも人気のベトナムの国民食である麺料理フォーのほか、ベトナム風お好み焼きのバインセオなど、おなじみのベトナムグルメが勢ぞろい。
他にも、蒸し餃子のホワイトローズや揚げワンタン、鶏の炊き込みご飯であるコムガー、麺料理のミークアンなどのローカルグルメが目白押しです。
特に食べておきたいのが、日本の伊勢うどんがルーツといわれる麺料理、カオラウです。伊勢うどんは太くてやわらかい麺と甘辛いタレが特徴ですが、カオラウは太くて短い、コシのある麺と独特のスパイスを用いた野菜や肉が乗った麺料理です。
ランタン祭りでは、灯籠流しも体験できます。小さな紙で作られた灯篭に、ろうそくを灯して川に流すことができるんです。灯篭流しはもともとベトナムに伝わる伝統的な風習で、精霊への感謝や自分の願いごとを託す意味合いがあるといわれています。
灯篭流し自体はランタン祭り以外の日でも行われていますが、ランタン祭りの最中に体験すると、ランタンに照らされた幻想的な雰囲気の中で貴重な体験ができますよ。料金は1人10万ドン(約500円)が相場で、ボートの料金も含まれています。訪れた際には思い出のひとつとしてぜひ体験してみてください。
ランタン祭りを存分に楽しむために、ぜひ次の注意点を押さえておきましょう。
ランタン祭りは、夜間に行われ、お店などの照明が落ちるため、足元が暗いため、歩くときにはつまずかないよう注意しましょう。また繁忙期には人ごみの中を歩くこともあるため、他人の足を踏まないよう気を付けてくださいね。
混雑している場合、歩きながらのスリにも要注意です。財布だけでなくスマートフォンやカメラなども狙われやすいので、十分に注意しながら歩きましょう。また屋台グルメを食べている間に、カバンを近くに置くなどすると、置き引きにあう恐れもあるため、なるべく目を離さないようにしてください。
灯篭流しの灯篭は、正規の売り場で購入することをおすすめします。観光客をねらって、相場の何倍もの値段で得る売り手もいるため注意しましょう。また、正規の売り場の灯篭は、環境に配慮された紙を使用しているのも理由の一つです。
ベトナムの年間を通じた平均気温は27度程度で、温かい気候です。しかし時期によっては夜間にノースリーブや半袖だと肌寒く感じることもありますので、上着を持ち歩くとよいでしょう。
ベトナムのホイアンで開催されるランタン祭りの概要や見どころ、楽しみ方などをご紹介しました。とても幻想的で写真映えするスポットなので、ベトナム旅行に訪れる際には、ぜひ日程を合わせて訪れたいイベントです。ポイントや注意点を押さえながら、楽しく充実したベトナム旅行を満喫しましょう。