ワット・ロンクンとは、ミャンマーとの国境に近いタイ北部の都市・チェンライ近郊にある寺院。チェンライ出身のアーティスト、チャルーンチャイ・コーシピパット氏がデザインした白亜の斬新な建築が特徴的で「ホワイト・テンプル」の異名をとっています。
橋の下から出る、地獄を表現した無数の手など、タイの伝統的なお寺とは一線を画す独特の世界観がSNSで注目され、タイ北部屈指の観光スポットとして人気を集めるようになりました。
ワット・ロンクンはチェンライ市街からチェンマイ方面へ約14キロメートルのところにあり、チェンライ市内から行く場合もなんらかの移動手段が欠かせません。チェンライ市街からワット・ロンクンへ行くには、おもに以下の4つの方法があります。
料金面で最も安上がりなのがローカルバス。基本的には、チェンライ第1バスターミナルの8番乗り場から運行しているワット・ロンクンへの直行バスが最もおすすめの交通手段です。直行バスの運行間隔は30~60分に1本。運賃は片道25バーツ、所要時間は約25分です。
直行バスの車体には「WHITE TEMPLE(白い寺)」とわかりやすく書かれています。まれに乗り場が変わることがあるため、乗車時はよく確認してください。
直行バスのほか、メーカチャン行きの青い路線バスもワット・ロンクンの前を通ります。メーカチャン行き路線バスに乗る場合は、乗車時に車掌にワット・ロンクンで降りることを伝えましょう。
「ソンテウ」と呼ばれる乗り合いタクシーも安上がりな交通手段。運行ルート上であれば、どこでも好きなところで乗り降りができます。料金はバス同様片道25バーツ。バスと同じくチェンライ第1バスターミナルから乗車できるほか、チェンライ市内を走っているソンテウに乗ることもできます。
ホテルや出先からワット・ロンクンに直行したい場合や、バスの運行時刻に縛られたくない場合、人数が多い場合などはGrabも選択肢のひとつになるでしょう。出発地や配車時の状況にもよりますが、チェンライ中心部からワット・ロンクンまでのGrabタクシーの料金は150バーツ前後。第1バスターミナルで客待ちをしているタクシーの相場は200バーツ前後です。
個人で自由に動きたい場合、ワット・ロンクンと別の観光スポットを組み合わせて柔軟なルートを組みたい場合などは、レンタルバイクやレンタカーの利用を検討してもいいかもしれません。排気量によって異なりますが、レンタルバイクの料金相場は1日200~300バーツ程度。レンタカーの場合は1000バーツ前後です。
チェンライ市内中心部はそれほど目立った観光スポットがないため、タイ北部最大の都市、チェンマイを起点にワット・ロンクンを訪れる人も多いです。チェンマイからワット・ロンクンへは、基本的に日帰りが可能。
チェンマイからワット・ロンクンへ行く主要な方法を以下にまとめました。
とにかく安くワット・ロンクンに行きたいならバスが最適。チェンマイからワット・ロンクンに行く場合、チェンライ行きの長距離バスに乗りましょう。チェンマイの第2バスターミナルからチェンライ行きのバスが出ており、運賃はクラスにより200~300バーツ前後。
チェンマイからチェンライまでの所要時間は約3時間半ですが、ワット・ロンクンは、チェンライ中心部に向かう途中にあるため、あらかじめ運転手に伝えておけば、ワット・ロンクン付近で降ろしてもらえます。
自由気ままに動きたいなら、レンタカーを借りるのもひとつの手。レンタカーの料金相場は1日1,000バーツ前後です。
チェンマイからワット・ロンクンへ行く方法の中で最も人気があるのが、安心感があり、ラクで、時間を効率良く使えるツアー。料金はツアー会社やツアーの内容によって大きく異なりますが、現地のツアー会社で申し込む場合は1人1,000前後が相場です。
ワット・ロンクンだけに行くツアーというのは一般的ではなく、ブルー・テンプル(ワット・ロンスアテン)や黒い家(バーン・ダム)、ゴールデン・トライアングル(タイ・ラオス・ミャンマーが国境を接する三角地帯)などとあわせて周るのが一般的。
チェンマイにある旅行会社のオフィスに行けば前日でも申し込めるケースがほとんどですが、できれば前々日までに申し込んでおいたほうが安心です。
ワット・ロンクンを訪れる場合、チェンマイやチェンライを起点に動くのがおすすめですが、時間がない場合はバンコクから直接ワット・ロンクンを目指すことも可能。バンコクからワット・ロンクンへ行くには、おもに以下の3つの方法があります。
バンコク~チェンライ間は約800キロメートルも離れているため、バンコクから弾丸でワット・ロンクンを訪れるなら、飛行機が最も現実的でしょう。バンコク~チェンライ間にはLCC(格安航空会社)も含め複数の航空会社が就航しており、片道の運賃は3,000円~8,000円程度、所要時間は約1時間30分です。
チェンライ空港からワット・ロンクンに行くには、空港からバスでチェンライ市街に行き、そこからワット・ロンクン行きのバスに乗り換える方法もありますが、時間がかかるため、空港からタクシーで直接ワット・ロンクンに向かうのがおすすめです。
バンコクとチェンマイを結ぶバスは所要約12時間、運賃はクラスにより600~900バーツ程度です。バンコク北バスターミナル(モーチット)を出発し、チェンライ市街から南に約6キロメートルのところにある第2バスターミナルに到着します。
第2バスターミナルからワット・ロンクンへ行くには、まずはチェンライ市街地にある第1バスターミナルを目指しましょう。
第2バスターミナルからソンテウ(乗り合いタクシー)で第1バスターミナルまで行き、ワット・ロンクン行きの直行バスに乗り換えれば、公共交通機関のみでワット・ロンクンに行くことができます。
タイ国鉄はチェンマイが北の終着駅になっているため、チェンマイよりさらに北に位置するチェンライには鉄道が通っていません。
タイ国鉄は遅延が多いこともあり、この方法はあまりおすすめできませんが、どうしても鉄道で行きたい場合は、バンコクからチェンマイまで鉄道で行き、チェンマイでバスに乗り換えるという方法もあります。
バンコク~チェンマイ間の鉄道は所要11~14時間。運賃はクラスや設備により異なりますが、800~1,400バーツ程度です。チェンマイ駅と第2バスターミナル間は2キロメートル以上離れているので、徒歩よりも、ソンテオやタクシーで移動したほうがいいでしょう。
ワット・ロンクンとあわせて訪れたいスポットのひとつが、ワット・ロンクンをデザインしたチャルーンチャイ・コーシピパット氏の弟子が制作に携わったワット・ロンスアテン。
「ブルー・テンプル」の異名の通り、鮮烈な青を基調とした空間が印象的で、純白の仏像が鎮座する本堂内部はさながら小宇宙のようです。
チェンライ出身のアーティスト、タワン・ダッチャニー氏による私設ミュージアムで、広い敷地内に約40棟のタイの伝統建築の「黒い家」が立っています。建物の内部には動物の骨や皮革、さまざまなアート作品などが展示されており、独特の美意識が体感できます。
チェンライ中心部にあるワット・プラケオはチェンライで最も格式の高い寺院。バンコクのワット・プラケオ(エメラルド寺院)にあるエメラルド仏は、1436年にこの寺院で発見されました。現在は、1991年に奉納された新しいエメラルド仏が人々の信仰を集めています。
タイ北部有数の観光地として人気の高いワット・ロンクン。さまざまな行き方がありますが、ワット・ロンクンの近郊にはほかにも足を運ぶ価値のある観光スポットが点在しています。できればゆっくりと時間を取って、チェンライ・チェンマイ周辺を満喫してはいかがでしょうか。