シンガポールを訪れたらぜひ味わいたいのが、ローカル色豊かな屋台グルメ。
チキンライスやラクサといった定番から、サテーやチリクラブなどの名物料理まで、多国籍な味を手頃な価格で堪能できるのが特徴です。
本記事では、朝から夜まで屋台料理を味わい尽くす1日のモデルプランと、街歩きと合わせて巡りたいおすすめエリアをご紹介します。
さらに、ホーカー文化の背景に触れることで、食の奥深さやシンガポールの多様性も感じられるはずです。
シンガポールの食文化をより深く知りたい方に向けて、旅に役立つ情報をお届けします。
シンガポールの屋台グルメを存分に楽しむには、ホーカーセンターの立地や行きやすさも重要なポイントです。
ホーカーセンターは、さまざまな屋台料理が一か所に集まった屋外型のフードコートのことです。
観光の合間に立ち寄れる場所から、地元民が通う穴場までをピックアップしました。
それぞれの特徴に加え、最寄駅や出口、徒歩ルートなどの詳細なアクセス情報も併せてご紹介します。
チャイナタウンの中心部に位置し、観光ルートにも組み込みやすい定番のホーカーセンター。
名物の「天天海南鶏飯(Tian Tian Hainanese Chicken Rice)」を目当てに、ローカルと旅行者が行列を作るほどの人気スポットです。
屋台はバリエーション豊かで、点心、ローカルデザート、ドリンク類も充実。
屋根付きの広々とした席で、落ち着いて食事を味わえます。
アクセス | MRT「チャイナタウン駅(Chinatown)EW4/NE4」E出口から徒歩約5分 |
住所 | 1 Kadayanallur St, Singapore 069184 |
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歴史的建築とモダンなビジネス街の融合が美しい、シンガポールのアイコン的ホーカーセンター。
昼はビジネスマン、夜は観光客でにぎわい、19時以降に始まる「サテー・ストリート」では路上にずらりと並ぶ屋台で、香ばしく焼かれた串焼きが味わえます。
天井が高く、通気性も良いため、暑さを感じにくく快適。
屋外席でのディナーもおすすめです。
アクセス | MRT「ラッフルズ・プレイス駅(Raffles Place)EW14/NS26」 |
住所 | 18 Raffles Quay, Singapore 048582 |
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映画『クレイジー・リッチ!』にも登場したことから観光客にも広く知られるホーカー。
特にバーベキュー風のシーフードや、サンバル・ストリーフードが有名で、夜になると一層活気を帯びます。
駅からすぐの立地で、英語メニューも充実しているため、はじめてのシンガポール旅行でも安心して利用できます。
テラス席のような開放感があり、ローカル気分を満喫できるでしょう。
アクセス | MRT「ニュートン駅(Newton)NS21/DT11」B出口から徒歩約3分 |
住所 | 500 Clemenceau Ave North, Singapore 229495 |
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観光地からやや離れているものの、地元の人々が通う実力派ホーカーとして知られており、料理の味やコスパ重視の人におすすめです。
シンガポールの伝統的な屋台飯が一通り揃っており、どの屋台もレベルが高いのが特徴です。
席数が多く、混雑時でも落ち着いた空間で食事を味わえます。
ローカルフードの奥深さを体験したい方にぴったりのスポットです。
アクセス | MRT「ダコタ駅(Dakota)CC8」A出口から徒歩約5分 |
住所 | 51 Old Airport Rd, Singapore 390051 |
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レトロな雰囲気とモダンな街並みが融合するチョンバル地区に位置する人気スポット。
1階が生鮮市場、2階がホーカーエリアとなっており、ローカルの暮らしを垣間見ながら屋台グルメを味わえます。
周辺にはカフェや雑貨店も点在しており、ブランチや午後の軽食タイムに立ち寄るのにも最適。
観光から食事、街歩きまでを一度に楽しめる、満足度の高いスポットです。
アクセス | MRT「チョンバル駅(Tiong Bahru)EW17」B出口から徒歩約7〜8分 |
住所 | 30 Seng Poh Rd, Singapore 168898 |
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シンガポールのホーカーセンターは、安くておいしいローカルグルメが集まる旅行者に人気のスポットです。
さらに、現地ならではのマナーや衛生面のポイント、混雑を避けるコツなどを知っておくことで、より快適に屋台巡りを楽しめます。
ここでは、価格相場をはじめ、訪問前に押さえておきたい実用情報をまとめてご紹介します。
シンガポールは物価が高いイメージがありますが、屋台グルメに限って言えば、驚くほどコストパフォーマンスに優れています。
ホーカーセンターでは、1食あたりおおよそ5〜10シンガポールドル(約550〜1,100円)程度で、しっかり満足できるメニューが豊富です。
例えば、チキンライスやラクサ、チャークイティオなどの定番料理は5〜6シンガポールドル(約550〜660円)程度が主流。
サテーのような串料理やロティ・プラタはさらに安価で、スナック感覚で数種類を組み合わせて味わうのも可能です。
一方で、同じ料理を高級レストランで味わうと、税・サービス料込みで20〜40シンガポールドル(約2,200〜4,400円)以上になることも珍しくありません。
屋台では、手頃な価格でローカルの味をそのまま楽しめる点でも、食体験としての価値が高いといえます。
また、現地の人々も日常的にホーカーセンターを利用していることから、価格以上の満足感が得られるのも屋台の魅力のひとつです。
旅の予算を抑えつつ、しっかりと美味しいものを食べたい方には、屋台グルメはまさに理想的です。
初めてホーカーセンターを訪れると、注文方法や支払いについて戸惑うこともあります。
シンガポールの屋台では、基本的にセルフサービスで、注文時にその場で支払いを済ませるスタイルです。
支払いは現金が主流ですが、最近ではQRコード決済(PayNowなど)やNETSと呼ばれるデビットシステムも利用されています。
屋台によっては、VisaやMastercardのクレジットカードが使えるところも増えてきました。
ただし、すべての店舗が対応しているわけではないため、少額の現金(5〜20シンガポールドル〈約550〜2,200円〉程度)は常に用意しておくと安心です。
席の確保については、料理を注文する前に空席を見つけて確保するのが一般的なスタイル。
ティッシュペーパーや傘、カードなどを置いて席取りする習慣があり、これは「チョープ文化」と呼ばれています。
相席になる場合もあるため、その際は自然に席を共有しましょう。
シンガポールのホーカーセンターは、政府によって衛生基準が厳しく管理されており、安心して利用できる屋台がほとんどです。
店舗ごとに「衛生等級(A〜D)」が掲示されており、「A」または「B」の等級を持つ店を選ぶと安心感があります。
とはいえ、旅行中の体調管理のためには、以下のようなポイントにも注意しましょう。
また、食後に手を洗える設備がない場所もあるため、アルコール除菌シートを携帯しておくと便利です。
屋台だからといって不衛生ということはなく、ちょっとした意識でより安心して楽しめます。
人気のホーカーセンターでは、混雑する時間帯を外すことで、落ち着いて食事ができます。
地元の人の行列ができている店は「おいしい証拠」でもありますが、混雑を避けたい場合は、空いている時間に再訪するか、テイクアウトを検討するのもよいでしょう。
混雑を上手に避けることで、よりゆったりと屋台の魅力を味わえます。
シンガポールの屋台グルメは、世界中から訪れる旅行者を魅了するローカル文化のひとつです。
多国籍な食文化が融合した料理の数々は、手頃な価格ながら本格的な味わいを堪能できます。
ここでは、シンガポールでぜひ味わっておきたい定番ローカルフードから人気メニュー、ヘルシー志向の方向けの選択肢までをご紹介します。
シンガポールに行ったら、まず味わっておきたいのが定番中の定番ともいえるローカル料理です。
以下は、地元民も愛する定番グルメで、屋台でも高い満足感が得られるメニューばかりです。
やわらかく蒸した鶏肉と、鶏のスープで炊いた風味豊かなライスの組み合わせが絶品。
あっさりしていながら奥深い味わいで、チリやショウガ、ダークソイソースで自分好みに味を調整できます。
彩りの良い見た目も食欲をそそり、地元民からも観光客からも圧倒的な支持を集める国民食です。
殻付きのカニを、トマトベースの甘辛いチリソースで炒めた豪快な一品。
とろみのある濃厚なソースに揚げパン(マントウ)を浸して食べるのが定番のスタイルです。
手づかみで豪快に食べるのがシンガポール流で、屋台ではサイズを選べることもあり、シェアにもぴったり。
ココナッツミルクとスパイスが効いたスープに、ビーフンや厚揚げ、エビ、もやしが入った具だくさんの麺料理。
ピリ辛でクリーミーなスープが特徴で、箸が止まらなくなる味わいです。
スープの量に違いがある「ドライ・ラクサ」を提供する店もあり、バリエーションを試すのも一興です。
豚スペアリブをニンニクや胡椒、漢方などで煮込んだ滋養強壮系のスープ。
透き通った見た目に反してしっかりとした味わいで、体が温まるため朝食にもよく食べられます。
ごはんと漬物、小皿のおかずとセットで提供されることが多く、しっかりとした食事になります。
卵麺と米麺をミックスし、エビやイカとともに炒めたシンガポール風の海鮮焼きそば。
海老のだしが効いたスープで軽く煮込むように仕上げるのが特徴で、汁気があるのがポイント。
レモンを絞ってさっぱりと食べるのが現地流です。
薄く焼いたトーストに、ココナッツと卵、パンダンリーフで作られた甘い「カヤジャム」とバターを挟んだ伝統的な朝食メニュー。
サクッと軽い食感と優しい甘さが特徴で、濃いローカルコーヒー(コピ)と一緒に楽しむのがおすすめです。
シンガポール初心者でも食べやすく、なおかつ屋台で手軽に味わえるメニューが揃っています。
軽食感覚でシェアしたり、ちょっとずつ色々試したい方にもおすすめです。
スパイスでマリネした肉を炭火で香ばしく焼いた東南アジアの定番串焼き。
鶏肉・牛肉・マトンなどの種類があり、香ばしい香りが食欲をそそります。
甘辛いピーナッツソースをたっぷりつけて食べるのが本場のスタイル。
夜の屋台では、料理をビールと一緒に味わうのが定番となっています。
幅広の平打ち米麺を、エビ・卵・もやし・ニラなどと一緒に高温の中華鍋で一気に炒めた料理。
甘辛いダークソイソースとラードの香ばしさが絶妙で、もちっとした食感もクセになります。
地元では昼食にも夕食にも人気の定番メニューです。
インド系の薄焼きパンで、外はカリッ、中はモチッとした食感。
卵入りやチーズ入りなどバリエーションが豊富で、カレーに浸して食べるのが主流です。
屋台では目の前で生地を伸ばして焼く工程を見られるため、活気ある雰囲気も体感できます。
かき氷の上にカラフルなシロップ、小豆、ゼリー、とうもろこし、エバミルクなどをのせた東南アジア独特の冷たいデザート。
南国らしいビジュアルでSNS映えにもぴったりです。
シンガポールの屋台ならではの食文化に触れられる一品です。
シンガポールの屋台グルメは、がっつり系だけではありません。
健康志向の方やベジタリアンでも安心して選べるメニューが多くあります。
白ごはんの上に、好みの野菜炒めや豆腐料理、テンペ(発酵大豆食品)、炒め麺などを自由に選んで盛り付けるスタイルの屋台定番プレートです。
中華系のベジタリアン食が中心で、ニンニクやショウガを効かせた味付けが多く、野菜だけでもしっかりとした満足感があります。
見た目にも彩り豊かで、プレートに数種のおかずがバランスよく並ぶため、食欲をそそるだけでなく栄養バランスも良好。
おかずが日替わりなので、通うたびに新しい味に出会えます。
ホーカーセンターでは昼前から行列ができることも多く、地元の健康志向の人にも支持される人気メニューです。
トレイとトングを手に、豆腐、野菜、厚揚げ、春雨、揚げ物など好みの具材を選んでスープで煮てもらう、シンガポールらしいカスタマイズ型のヘルシーフード。
透明でやさしい風味のスープは胃にやさしく、辛さの有無や麺の追加も選べる柔軟さが魅力です。
仕上げには、甘辛味噌やチリソースをかけて味に変化をつけるのが定番。
ボリュームの調整ができるため、軽めの食事をしたいときや夜遅めの食事にもぴったりです。
カロリー控えめでも食べ応えがあり、女性や高齢の旅行者からも人気が高い屋台メニューです。
ホーカーセンターの一角には、新鮮なフルーツをその場でカットして提供する屋台や、注文ごとに搾るジューススタンドが並んでいます。
パパイヤ、スイカ、パイナップル、マンゴー、ドラゴンフルーツ、グァバなど、南国ならではのカラフルな果物が並ぶ様子は見ているだけでも気分が明るくなりますね。
果物はカップ入りで提供され、歩きながらのスナックや食後のデザートとしても人気。
ジュースは砂糖や氷の量を調整できる店もあり、その場でブレンドされた搾りたての味は爽快感抜群です。
暑さで疲れた体にビタミン補給としてもおすすめで、観光の合間のリフレッシュタイムにぴったりの屋台グルメです。
屋台グルメを一通り堪能したあとに、その食文化がどのように育まれてきたのかを知ると、旅の印象がさらに豊かになります。
シンガポールのホーカー文化は、単なる安くておいしい食事にとどまらず、歴史や社会と深く関わりながら発展してきました。
ここでは、その魅力と歩みを簡単にご紹介します。
シンガポールのホーカーセンターには、中華、マレー、インド、西洋風など多民族国家ならではの多彩な料理が集まっています。
これらの料理を1か所で手軽に、しかもリーズナブルに楽しめる点が、屋台文化の大きな魅力です。
家族連れやビジネスマン、学生、観光客など、あらゆる人々が同じテーブルを囲む風景は、食が国境を越えて人をつなぐ力を持っていることを実感させてくれます。
また、チリクラブやラクサ、サテーなどの有名メニューだけでなく、地域ごとの個性的な屋台料理も多く、食べ歩きを通じてローカルの暮らしにも触れることができます。
もともと屋台は、路上で営業する個人の小さな店としてスタートしました。
しかし、衛生や都市環境の整備を進める中で、政府が1970年代から屋台を整理・統合し、「ホーカーセンター」として整備したことが転機となりました。
現在のホーカーセンターは、政府の厳しい衛生基準に基づいて運営されており、店舗にはA〜Dの衛生等級が表示されるなど、安全性にも配慮されています。
この取り組みが評価され、2020年にはシンガポールのホーカー文化がユネスコの無形文化遺産にも登録されました。
さらに、若い世代の出店やフュージョン料理の登場もあり、伝統を守りつつ進化し続けるのがシンガポールの屋台文化の特徴です。
過去から現在、そして未来へと続くこの文化は、旅の思い出に深みを加えてくれるはずです。
シンガポールの屋台グルメは、1日を通して朝・昼・晩と多彩な料理を気軽に楽しめるのが魅力です。
観光スポットと隣接するエリアも多く、食べ歩きと街歩きを組み合わせれば、効率よく旅を満喫できます。
さらに、ホーカー文化の歴史や背景を知ることで、単なる食事ではなく、シンガポールという国の多様性と進化を感じる貴重な体験となるはずです。
味わうだけでなく、その背景にあるストーリーにも触れてみてはいかがでしょうか。